平成26年8月20日に、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び財務諸表等の監査証明に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」が公布され、関連するガイドラインも同日付で公表されています。改正された府令等は以下のとおりです。

この改正により、新規上場時に提出が必要な有価証券届出書の記載内容に変更が生じています。具体的には、今まで直近5年間の財務諸表の記載が必要であったものが、直近2年間の記載となるなど、新規上場に伴う負担の軽減が図られています。

詳細は、以下の金融庁ウェブサイトをご参照ください。
http://www.fsa.go.jp/news/26/sonota/20140820-1.html

今回は、1号基本金及び国庫補助金等特別積立金にかかる変更点についてご紹介いたします。

旧基準においては、10万円未満の初期調度物品等を1号基本金及び国庫補助金特別積立金から除外していた一方で、指導指針では含めているといった取扱いの違いがみられていました。

そうした適用する基準による差異を解消し、実態に即した計算及び表示とするため、新基準においては、基本金及び国庫補助金等特別積立金の設定時において固定資産以外も計上できるように変更し、処理方法の統一が図られています。

新社会福祉法人会計基準について(その6)でご紹介した4号基本金の廃止ほどの大きな変更ではありませんが、留意が必要です。

今回は、新基準において導入された会計手法の一つである、「リース会計」についてご説明します。

新基準では、ファイナンス・リース取引については売買処理をすることとなりました。ファイナンス・リース取引とは、「リース契約に基づくリース期間の中途において当該契約を解除することができないリース取引またはこれに準ずる取引で、借手が、当該契約に基づき使用する物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、当該リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担することとなるリース取引」のことをいいます。上記に該当するリース物件は、法的に所有権はなくとも、経済的実質としては資金借入をして物件を購入して使用していると捉えられることから、貸借対照表に計上すべきとの考え方により、新基準においては賃貸借処理ではなく売買処理されることとなっています。

新基準移行時の調整は、以下(1)~(3)のいずれかによることとなっています。

今回は、新基準において導入された会計手法の一つである、「金融商品の時価会計」についてご説明します。

新基準では、満期保有目的の債券等以外の有価証券のうち市場価格のあるものについては、時価で評価することとされました。また、満期保有目的の債券に関しては通常は取得価額で評価しますが、債券金額より低い価額又は高い価額で取得した場合において、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額とすることとされています。

新基準移行時の処理方法は、新基準移行年度期首に所有する有価証券のうち、時価評価を適用するものは、前年度末の帳簿残高と前年度末の時価との差額を「過年度の収益又は費用」等として調整し、償却原価法を適用するものは、移行年度期首の帳簿価額と取得時から償却原価法を適用した場合の移行年度期首の帳簿価額との差額を「過年度の収益又は費用」等として調整します。

今回は、新基準において新たに加えられた注記事項の一つである「関連当事者との取引内容」についてご説明します。
そもそも、企業会計においては、5年以上前から関連当事者に関する注記が義務付けられています。これは、関連当事者と会社との取引が必ずしも対等な立場で行われているとは限らず、会社の財政状態や経営成績に影響を及ぼすことが考えられるため、当該影響を財務諸表利用者が把握できるようにするため開示するものとなっています。
社会福祉法人においても、法人経営の透明性を高めるという趣旨から、当該注記が規定されたものと考えられます。

具体的な関連当事者の範囲や関連当事者取引の開示対象範囲は、以下のようになっています。

1.関連当事者の範囲

(1)役員(理事・監事のうち有給常勤役員に限定)及びその近親者(3親等内の親族及びこの者と特別の関係にある者)
注)特別の関係にある者の例示

(2)(1)の者が議決権の過半数を有している法人

2.関連当事者取引の開示対象範囲

事業活動計算書項目及び貸借対照表項目のいずれに係る取引についても、年間1,000万円を超える取引については全て開示対象となっています。

新社会福祉法人会計基準では、第4号基本金が廃止されました。

新基準では、基本金を法人の設立及び施設整備等、法人が事業活動を維持するための基盤として収受した寄附金に限定しており、旧基準で規定されていた4号基本金は事業活動の結果としての繰越活動収支差額から基本財産への編入を条件として組み入れることを認められていたものであり、寄附金とは性質が異なることから、新基準においては基本金として計上することができなくなりました。
よって、新基準移行時には第4号基本金は全額取り崩す必要があります。移行時の処理の方法は2つあり、以下のとおりです。

(1)原則的方法

事業活動計算書の繰越活動増減差額の部に「基本金取崩額・第4号基本金取崩額」を設けて処理する方法

(2)特例処理

「4号基本金取崩調整表」に基づき、貸借対照表上、直接「次期繰越活動増減差額」もしくは「積立金」に組み替える方法

なお、(2)特例処理を選択した場合、その旨の注記が必要となります。

今回は、資金収支計算書の区分について、旧基準との変更点及び注意点をご紹介します。

旧基準新基準
経常活動による収支事業活動による収支
施設整備等による収支施設整備等による収支(内容の変更あり)
財務活動による収支その他の活動による収支

以上のように、資金収支計算書の区分名称が変更されております。

施設整備等による収支については、名称の変更はないものの、内容が変更されており、注意が必要です。
例えば、旧基準においては、設備資金借入金収入や設備資金借入金償還金支出が財務活動による収支に区分されていましたが、新基準においてはそれらの収支は、施設整備等に関するものと捉えて、施設整備等による収支に区分することとされています。このように、施設整備等による収支の範囲が広くなっている点に留意が必要です。

平成26年3月31日に地方税制の改正に関する法律が公布されました。今回は、その中で、「地方法人税の創設」及び「法人住民税法人税割の税率引下げ」についてご紹介したいと思います。

「地方法人税」の概要

・納税義務者

法人税を納める義務がある法人

・税額の計算

・適用時期

平成26年10月1日以後に開始する事業年度から適用する。

「法人住民税法人税割の税率引下げ」の概要

上記創設及び改正の理由として、地方団体の税源の偏在性を是正しその財源の均衡化を図ることが挙げられており、地方法人税の税率4.4%は法人住民税法人税割の税率引下げ△4.4%と一致しています。

税効果会計への影響

法定実効税率の算出式が以下のようになります。

 
          法人税率×(1+地方法人税率+住民税率)+事業税率
法定実効税率=---------------------------------------------------------
                   1+事業税率

今回の改正においては、住民税率の引下げ幅が創設される地方法人税率と一致しているため、算出される法定実効税率には原則として影響がないと考えられます。
よって、連結納税制度を利用していない法人については、原則として計上される繰延税金資産及び繰延税金負債に与える影響はないと考えられます。

ただし、連結納税制度を利用している法人については、地方法人税の課税標準と住民税の課税標準が異なることから、繰延税金資産の計上額に影響を与える可能性があります。

平成25年度税制改正において、「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」が導入されました。今回はこの税制の内容についてご紹介したいと思います。

(1)税制措置の対象者

青色申告書を提出する中小企業者等とされています。ここで、中小企業者等とは以下のような定義となっています。

(2)適用の要件(以下の全ての要件を満たす必要があります)

留意点

(3)税制措置の内容

取得価格の30%の特別償却又は取得価格の7%の税額控除の選択適用

留意点

以上が概要となります。この制度を活用することで当年度の節税効果が期待できる方はぜひ利用されることをおすすめします。
詳細は、下記の中小企業庁ウェブサイトをご参照ください。
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2013/0401ZeiseiKaisei.htm

今回は、新基準で新たに追加される財務諸表注記事項についてご紹介します。
旧基準では、計算書類の注記事項として7項目規定されていました。新基準では経営内容をより正確に説明する趣旨から、この7項目に加え、新たに8項目を追加し15項目の注記事項が規定されています。旧基準から規定されている注記事項と新基準により追加された注記事項は以下のとおりとなっています。

旧基準から規定されている注記事項

新基準で追加された注記事項