「会社法の一部を改正する法律」(以下、改正会社法といいます。)が、平成26年6月20日に成立し、平成26年6月27日に公布されています。施行日は平成27年5月1日です。

今回は、多重代表訴訟に関する事項について確認します。
この度の改正で、親会社の株主が、一定の要件の下で子会社の役員等の責任を追及する制度、いわゆる多重代表訴訟制度が導入されました。ここでの一定の要件とは、以下のとおりです。

以上の要件から、純粋持株会社の株主が傘下の事業会社の役員等の責任を追及することなどが考えられます。

「会社法の一部を改正する法律」(以下、改正会社法といいます。)が、平成26年6月20日に成立し、6月27日に公布されています。施行日は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日とされています。

今回は、会計監査人の選解任の議案の内容の決定権について確認します。

従前は、会計監査人の選解任の議案の内容の決定権は、取締役に付与されていました。本来、会計監査人は経営者から独立した立場で会計監査を実施しなければならない一方、経営者に選解任権があったため、独立性の確保を阻害する要因として問題視されていました。
今回の改正において、会計監査人の選解任の議案の内容が監査役(監査役会)の決定事項と定められたため、上記の独立性の阻害要因は軽減されたといえます。

また、前回確認した監査等委員会設置会社においても、当該議案の決定権は監査等委員会が有することとなっています。

平成27年の年頭に当たり、謹んで新年のお慶びを申し上げます。

本年も皆様のご信頼を頂ける監査法人となるよう、社員一丸となって精進する所存でございますので、何卒昨年同様のご愛顧を賜りますよう、お願い申し上げます。

皆様方の益々のご健勝とご活躍を祈念し、年頭の挨拶とさせていただきます。

「会社法の一部を改正する法律」(以下、改正会社法といいます。)が、平成26年6月20日に成立し、6月27日に公布されました。施行日は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日とされています。

今回は、監査等委員会設置会社制度について確認します。

今般の改正において、新たな機関設計として監査等委員会設置会社制度が導入されました。監査等委員は取締役で、その過半数は社外取締役である必要があります(399条の2第2項、331条6項)。また、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役は、選任や報酬決定において区別され(329条2項、361条6項)、任期も異なります(332条3項、4項)。監査等委員会及び各監査等委員の権限は、基本的には、指名委員会等設置会社(現行法の委員会設置会社)の監査委員会及び各監査委員の権限と同様ですが、それに加えて監査等委員である取締役以外の取締役の選解任等及び報酬について株主総会で意見を述べることができるものとされています(342条の2第4項、361条6項)。さらに、監査等委員会設置会社では、定款の定めにより取締役会決議事項を軽減することができます(399条の13第6項)。

監査等委員会設置会社のメリットとして、例えば以下の点が挙げられます。

<一般労働者派遣事業・職業紹介事業の監査証明業務の概要>

一般労働者派遣事業や職業紹介事業(以下「一般労働者派遣事業等」)の新規許可及び有効期間の更新を行うにあたっては監査法人又は公認会計士(以下「監査法人等」)による監査証明が必要となる場合があります。

一般労働者派遣事業等の新規許可及び有効期間の更新を行うにあたっては一定の許可要件(基準資産要件・負債比率要件・現金預金要件)を満たす必要があります。諸事情で年度決算時に許可要件を満たすことができなかった場合に、基準資産額または現金預金額を増額することで、その後の中間決算書・月次決算書で許可要件を満たすことができれば監査法人等の監査証明を添付することで新規許可及び有効期間の更新が可能となります。
また、有効期間の更新の場合は、「監査証明」に代えて、監査法人等による「合意された手続実施結果報告書」を添付することも可能です。
なお、税理士は一般労働者派遣事業等の認可有効期間の更新に必要な「監査証明」または「合意された手続実施結果報告書」は発行できません。

<監査証明業務と合意された手続業務(AUP業務)との相違>

有効期間の更新の場合は、監査証明ではなく、「合意された手続」の実施も可能とされています。
「合意された手続」は、英語のAgreed Upon Proceduresの頭文字をとって“AUP”と略されることがありますが、「合意された手続」とは、公認会計士が依頼者(事業主)との間で事前に調査手続の詳細について合意し、その合意された手続を実施して結果を報告する業務をいいます。
監査証明業務と合意された手続業務(AUP業務)の違いは、端的に言えば、決算書全体の適正性について公認会計士が保証することが監査証明業務で、会社との間で合意された手続のみを実施し、その結果を報告するのがAUP業務、ということになります。

<一般労働者派遣事業等の許可の有効期間の更新に係る合意された手続(AUP)について>

監査・保証実務委員会研究報告第24号《一般労働者派遣事業等の許可審査に係る中間又は月次決算書に対して公認会計士等が行う監査及び合意された手続業務に関する研究報告》において、
下記のような具体的な手続き例が示されています。

上記内容はあくまで参考ですが、実際には、厚生労働省の所管労働局(実施結果の利用者)の関心や実施結果の利用のあり方を勘案し、帳簿記録の増減記録金額が事実によって裏付けられなかった場合に基準資産額が20百万円等に事業所数を乗じた金額を下回ってしまう程に影響を及ぼすかどうか等を勘案し、依頼者である事業主と協議及び合意の上、手続実施の内容を決定する事となります。

学校法人会計基準の改正により、消費収支計算書は事業活動収支計算書に名称変更され、その内容についても変更点があります。

従来の消費収支計算書の作成目的は、当該会計年度の消費収入及び消費支出の内容及び均衡の状態を明らかにすることにありました。事業活動収支計算書においても、その作成目的は、当該会計年度の活動に対応する事業活動収入及び事業活動支出の内容及び基本金組入後の均衡の状態を明らかにすることにあり、作成目的は同様となっています。

一方、基準改正の基本目的である計算書類の明瞭性や経営への有用性の向上の観点から、事業活動収支計算書には区分経理が導入されており、以下のような表示へと変更されています。

上記のような区分を設けることで、学校法人経営の状況がより分析しやすくなっています。

学校法人会計基準の改正により、資金収支計算書の内訳に活動区分資金収支計算書が加えられました。活動区分資金収支計算書の目的は、資金収支計算書の決算額を3つの活動区分ごとに区分し、活動ごとの資金の流れを明らかにすることです。企業会計でいうところの、キャッシュ・フロー計算書に相当するものとなります。

近年の施設設備の高度化、財務活動の多様化という状況に対応するために、活動区分ごとの現金預金の流れを把握する必要性から、以下の活動区分ごとに集計します。

(1)教育活動

キャッシュベースでの本業の教育活動の収支状況を把握することができます。

(2)施設整備等活動

当年度に施設整備の購入状況、財源の内容を把握することができます。

(3)その他の活動

借入金の収支、資金運用の状況等、主に財務活動を把握することができます。

上記活動区分ごとに状況を把握することで、適切な財務分析が可能となります。

学校法人会計基準の一部を改正する省令(平成25年4月22日文部科学省令第15号)(以下、新基準といいます。)が公布され、平成27年度(知事所轄学校法人については平成28年度)以後の会計年度に係る会計処理及び計算書類の作成から適用されることとなりました。

学校法人会計基準は、昭和46年制定以来、私立学校の財政基盤の安定に資するものとして、また、補助金の配分の基礎となるものとして、広く実務に定着しています。しかしながら、制定以来40年が経過し、社会経済状況の大きな変化、会計のグローバル化等を踏まえた様々な他の会計基準の改正、私学を取り巻く経営環境の変化等を受けて、公教育を担う学校法人の経営状態について、社会によりわかりやすく説明できる仕組みとし、社会への説明責任を的確に果たすこと、及び学校法人の適切な経営判断に一層資するものとすることを主な目的に今回の改正へと至りました。

この改正により、財務3表(資金収支計算書、消費収支計算書、貸借対照表)の名称変更や、活動区分を設けて経営状況をわかりやすくするなど、種々の変更が加えられています。

変更点の詳細について、今後数回にわたり確認していきます。

日銀が発表した9月の短観で、大企業の製造業以外は落ち込み、全体としては、実質的にほぼ横ばいとなりました。円安の企業の業績に対する影響で明暗が分かれたようです。

大企業の製造業は、海外生産の好調さや円安を受けた海外収益の円換算額が膨らむ効果の恩恵を受けていますが、中小企業では、円安は一般に、原材料や部品の輸入コストを押し上げ、企業にとってコスト上昇要因であり、販売価格に転嫁しなければ、経営を圧迫する事になります。

円安の悪影響は、今回の短観に表れた以上に、この先企業経営に影を落としそうです。
円相場は一時、1ドル=110円台まで進みましたが、短観で大企業(製造業)が想定した今年度のレートは1ドル=100円73銭でした。(今回、企業が回答したのは8月末から9月末までであり、この間、円は対ドルで6円以上、下落しましたが、今回の回答にまだ十分反映されていない可能性が高いといえます。しかも、日米で方向が異なる金融政策を考えると、円安は一段と進み、長期化する構図にあります。)

今では国内企業の約8割が非製造業です。昨年末以降、景気を引っ張ってきたのも非製造業であり、ここが強くならなければ、日本経済全体の底上げも賃金上昇も難しいといえます。

一方で、雇用環境は改善しています。人手が余っているか足りないかを表す「雇用人員判断指数」は、リーマンショック前の2008年3月以来初めて、全規模・全業種で「過剰」より「不足」が多くなりました。こういった国内環境も、企業のコスト上昇に拍車をかけているといえます。

中小企業では、コストの上昇を価格に転嫁する事は容易ではありません。事実、ある商工会議所のアンケートによると、円安で恩恵を受けると答えた企業は全体のおよそ1割しかありませんでした。円安は、必ずしも日本経済全体にとってプラスとはいえません。 いずれにせよ、企業には、為替の変動に負けない経営の工夫及び企業努力が必要といえます。

日銀短観: http://www.boj.or.jp/statistics/tk/index.htm/#p01

「会社法の一部を改正する法律」(以下、改正会社法といいます。)が、平成26年6月20日に成立し、6月27日に公布されています。施行日は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日とされています。この改正におけるポイントをこれから数回にわたり確認していきます。

今回は、社外取締役を置いていない場合の理由の開示について確認します。

改正会社法第327条の2では、「事業年度の末日において監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって金融商品取引法第24条第1項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものが社外取締役を置いていない場合には、取締役は、当該事業年度に関する定時株主総会において、社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければならない。」と定められています。

これにより、上場会社が社外取締役を設置していない場合にその理由を開示する義務が課せられました。上場会社の企業統治(コーポレートガバナンス)を強化するため、社外取締役を設置することが望ましいとの考えから、このような改正に至ったものと考えられます。社外取締役を設置していない上場会社は準備が必要ですのでご留意ください。