「『社会福祉法人が経営する社会福祉施設における運営費の運用及び指導について』の一部改正」(通知)及び「社会福祉法人における入札契約等の取扱いについて」に関するパブリックコメント手続きが終了して、近日中に厚生労働省から、各自治体に通知される予定です。
ポイントは、以下の通りです。
- (1)旧会計基準の暫定措置の撤廃
- (2)前期末支払資金残高の取扱いを①前期末支払資金残高を充当できる公益事業の範囲について、法人が運営する公益事業全般へと対象を拡大② 前期末支払資金残高のうち、法人が運営する公益事業に充当できる額の上限が撤廃
- (3)法人本部の運営に要する経費の取扱いについて、①事務費支出に、会計監査人の設置の費用を含める②理事と施設長等とを兼務している場合の役員報酬は対象経費として認められない旨の規定の削除
- (4)入札契約等の取扱いについて、①随意契約によることができる場合の一般基準の見直し②会計監査を受ける法人の随意契約を一般基準よりも高い上限設置
- (5)計算書類等の扱いの見直し
下記、参考資料もご参照ください。
- 社会福祉法人における入札契約等の取扱いについて
- 「社会福祉法人が経営する社会福祉施設における運営費の運用及び指導について」の 一部改正について (局長通知)
- 「社会福祉法人が経営する社会福祉施設における運営費の運用及び指導について」の 一部改正について (課長通知)
「社会福祉法人指導監査実施要綱の制定について(通知)」と「会計監査及び専門家による支援等について(通知)」がパブリックコメント手続きに入っています。
https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495160448&Mode=0
ポイントは社会福祉法人への行政監査の周期が、現行の2年に1回から3年に1回に変更されます。
併せて、会計監査を受けて適正な場合は5年に1回、専門家の支援を受けた場合には4年に1回の特例が付されています。
専門家の支援の内容は、内部統制体制と事務処理体制への支援で、「財務会計に関する内部統制の向上に対する支援業務実施報告書」、「財務会計に関する事務処理体制の向上に対する支援業務実施報告書」のひな型にある項目を参照してください。
- 1.「 社会福祉法人指導監査実施要綱の制定について(通知案)」等の概要
- 2. 社会福祉法人指導監査実施要綱の制定について
- 3. 指導監査ガイドライン(案)
- 4. 会計監査及び専門家による支援等について
- 5. 財務会計に関する内部統制の向上に対する支援業務実施報告書
- 6. 財務会計に関する事務処理体制の向上に対する支援業務実施報告書
「OAG監査法人 社会福祉法人会計監査」
http://oag-audit.or.jp/shafuku/
日本公認会計士協会のサイトにて、「社会福祉法人の計算書類に関する監査上の取扱い及び監査報告書の文例」の草案が公開されています。広く意見を求め、改善・見直しを目的とした公開です。
詳しくは下記の日本公認会計士協会のページをご覧下さい。
平成28年12月14日に、厚生労働省から「社会福祉充実計画」に関連し、
「社会福祉充実計画の承認等に係る事務処理基準(案)についての更新」が公表されました。
「社会福祉充実残額算定シート(案)」及び「社会福祉充実残額算定シート(案)記載要領」も公表されておりますので、
併せてご確認ください。
【厚生労働省「社会福祉法人制度改革について」】
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142657.html
【OAG監査法人「社会福祉充実計画 意見聴取による確認書」特設サイト】
https://www.oag-audit.or.jp/shafuku/plan/
平成28年11月11日に、厚生労働省から改正社会福祉法の来年4月施行分に係る政省令、関係通知、事務連絡等が公表されました。
下記に、主な政省令等とその概要をまとめておりますが、詳細につきましては、厚生労働省のホームページでご確認ください。
厚生労働省「社会福祉法人制度改革について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142657.html
平成28年9月26日に厚生労働省で「第19回社会保障審議会(福祉部会)」が開催されました。
そして、同日に公表された部会資料によると、会計監査人の設置が義務化される社会福祉法人の規模基準について、現時点における案が示されましたようです。
確定情報は政令公布を待つことになりますが、概要は以下の通りです。
ただし、段階施行の具体的な時期及び基準については、平成29年度以降の会計監査の実施状況等を踏まえ、 必要に応じて見直しを検討する。
対象範囲の段階的な拡大は、一定規模以下の法人について、会計監査人の導入に向けた準備期間を十分に設け、制度を円滑的に導入し定着させることが狙いのようです。
当監査法人では、社会福祉法人様に向けて、会計監査導入のための内部統制構築支援や業務フローの評価改善業務も実施しておりますので、何なりとご相談ください。
平成23年改正社会福祉法人会計基準が、当年度(平成27年度)決算から強制適用となりました。社会福祉法人の担当者の皆様におかれましても対応が進んでおられることと思われます。
今回は、抑えておくべき留意事項をまとめています。
1.区分方法の変更
改正により、事業区分、拠点区分、サービス区分といった区分ごとに数字を集計することとなります。
2.注記の増加
改正により、注記事項が大幅に増えます。8項目程増加しますが、その中でも関連当事者との取引内容の注記は特に留意が必要です。
3.4号基本金の廃止
改正により他の基本金とは性格の異なる4号基本金が廃止されましたので、取崩しが必要となります。
4.新たな会計手法の導入
財政状態の透明性をより高めるため、企業会計に近い会計手法が導入されました。例えば、金融商品の時価会計、リース会計、退職給付会計、減損会計、税効果会計等です。
当年度が適用初年度の法人の皆様におかれましては、戸惑うこともあろうかと存じますが、以上の点にご留意頂き適正な財務諸表の作成を宜しくお願いいたします。
「OAG監査法人 社会福祉法人会計監査」
http://oag-audit.or.jp/shafuku/
平成27年4月3日に「社会福祉法等の一部を改正する法律案」が国会に提出されています。
この改正の理由として、以下のような状況があります。
- ・ 今日の人口減少社会の到来や独居高齢者の増加等による福祉ニーズの高まりにより、高い公益性と非営利性を備えた社会福祉法人の役割の重要性がますます増加している。
- ・ 経営組織の強化、情報開示の推進、内部留保の位置付けの明確化と福祉サービスへの投下など、社会福祉法人が備えるべき公益性・非営利性を徹底することが求められている。
今回の改正案では、経営組織の強化の観点から、一定規模以上の社会福祉法人に対しては会計監査人の設置が義務付けられています(改正案第37条)。すなわち、公認会計士又は監査法人による会計監査を受けることが必要となります。
ここで、一定規模以上とは、以下の要件のいずれかに該当する法人となる見込みです。
- ・ 収益(事業活動計算書におけるサービス活動収益)が10億円以上の法人
- ・ 負債(貸借対照表における負債)が20億円以上の法人
改正案が成立すると、平成29年4月1日から施行されますので、平成29年度の予算策定に向けて、平成28年度中には会計監査人設置に向けた準備を進めておかれる必要があるかと思われます。
「OAG監査法人 社会福祉法人会計監査」
http://oag-audit.or.jp/shafuku/
今回は、企業結合会計基準の改正内容について、確認していきたいと思います。
1.改正された基準
- ・企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」(企業結合会計基準)
- ・企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」(連結会計基準)
2.適用時期等
- 改正時期:平成25年9月公表
- 適用時期:平成27年4月1日以後開始事業年度
3.主な改正内容
- (1)非支配株主持分(少数株主持分)の取扱い
- (2)取得関連費用の取扱い
- (3)暫定的な会計処理の確定の取扱い
⇒改正の方向性として、国際的な会計基準との差異の解消
4.非支配株主持分(少数株主持分)の取扱いの改正について
(1)会計処理の変更について
- 改正前:非支配株主(少数株主)との取引は、外部取引と同様に損益取引として処理されていた。(親会社説の考え方)
- 改正後:非支配株主(少数株主)との取引は、資本取引として処理する。(経済的単一体説の考え方←国際会計基準)
具体的には、
- (1)子会社株式を追加取得した場合や一部売却した場合
- (2)子会社の時価発行増資の場合
に親会社持分が変動した際の持分変動差額の処理が変更となっている。
持分変動差額=親会社の持分変動額-追加投資額(一部売却額)
☆一部売却時の持分変動差額の計算方法の変更点
- 改正前:持分変動額(売却持分)に持分比率低下見合いののれん取崩額を含める。
- 改正後:支配が継続している限り、持分比率低下見合いののれんは取崩さない。
持分比率の変動 | 従来 | 改正後 |
---|---|---|
プラス | のれん計上 | 資本剰余金に計上 |
マイナス | 売却損益調整等 | 資本剰余金に計上 |
※資本剰余金残高がマイナスとなる場合は、利益剰余金から減額する。
(2)表示科目の変更について
i)BS表示
- 少数株主持分→「非支配株主持分」
ii)PL表示
- 少数株主損益調整前当期純利益→「当期純利益」
- 少数株主損益→「非支配株主に帰属する当期純利益」
- 当期純利益→「親会社株主に帰属する当期純利益」
5.取得関連費用の取扱いの改正について
取扱いの変わる取得関連費用
「外部のアドバイザー等に支払った特定の報酬・手数料等」
(ex. 紹介、助言、デュー・デリジェンス、バリュエーションその他のコンサルティング費用及び弁護士費用等)
<会計処理方法>
- 改正前:取得原価算入(上記費用は等価交換の一部であるとの考え方)
- 改正後:発生した事業年度に費用処理(上記費用は等価交換取引の一部ではなく、企業結合とは別の取引であるとの考え方)←国際会計基準
<注記>
主要な取得関連費用を注記により開示する必要がある。
注意点
上記処理はあくまで連結上の処理であり、個別財務諸表上は従来処理を継続する。
⇒よって、税務上の取扱いは従来と変わらない。
<税効果への影響>
個別財務諸表上で株式の取得原価に含まれる付随費用を、連結上は費用処理することにより差額が生じる場合、当該差額は連結財務諸表固有の一時差異に該当し、税効果会計の対象となる。
6.暫定的な会計処理の確定の取扱いの改正について
暫定的な会計処理について
企業結合に際して、識別可能資産及び負債を特定し、それらに対して取得原価を配分する作業が、企業結合日の属する会計年度決算までに確定しない場合がある。その場合には、決算時までに入手可能な情報に基づいて暫定的に決定した会計処理を行う。
<確定時の会計処理>
- 改正前:企業結合年度に当該確定が行われたとしたときの損益影響額を企業結合年度の翌年度において特別損益に計上
- 改正後:企業結合年度に当該確定が行われたかのように会計処理を行い、表示する。
2015年2月12日に厚生労働省社会保障審議会福祉部会報告書が公表されました。
当該報告書は社会福祉法人制度の見直しについての最終の報告書という位置付けとなっています。
■報告書の方向性
社会福祉法人は社会福祉事業に係る福祉サービスの供給確保の中心的役割を担うものとし、「これまで以上に公益性の高い事業運営が求められ」、法人の在り方そのものを見直す(平成18年の公益法人制度改革の内容に近づける)こととし、以下の項目に重点をおいています。
- ・経営組織の強化
- ・情報開示の促進
- ・内部留保の位置づけの明確化と福祉サービスへの投下
- ・社会貢献活動の義務化
- ・行政による指導監督の強化
具体的には、以下のような項目が盛り込まれております。
- ・社会福祉法人の内部管理を強化するため、理事会や評議員会、役員等の役割、権限の明確化
- ・サービス活動収益 10億円以上もしくは負債 20億円以上の社会福祉法人には、公認会計士の会計監査が強制
- ・監査の対象とならない社会福祉法人についても公認会計士、税理士による財務会計に対する体制整備状況の点検等を指導
- ・役員報酬の総額や役員報酬基準の公開を法令上義務付け
- ・特別利害関係者との取引内容の開示(100万円以上)
- ・内部留保を明確にし、「再投下財産額」がある社会福祉法人に対し「再投下計画」の作成を義務付け、その書類については公認会計士又は税理士による確認
上記のような改正の方向性が示されたため、今後は改正に対応するため準備を整えていく必要がありますのでご留意ください。