金融庁は、「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)」を公表しました。

当改訂は、経営者が内部統制の評価範囲の検討に当たって財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性を適切に考慮していないのではないか等の、内部統制報告制度の実効性に関する懸念が指摘されていることを背景としており、財務報告に係る内部統制の評価及び報告の実務に影響を与える点として以下が挙げられます。

【経営者による内部統制の評価範囲の決定】
評価範囲の決定にあたり、評価対象とする重要な事業拠点や業務プロセスを選定する指標について、例示されている「売上高等のおおむね3分の2」や「売上、売掛金及び棚卸資産の3勘定」を機械的に適用すべきではないことが記載されました。
なお、当該例示については、基準及び実施基準における段階的な削除を含む取扱いが今後検討されることが触れられています。

【ITを利用した内部統制の評価】
ITを利用した内部統制の評価について、一定の頻度で実施することについては、経営者は、IT環境の変化を踏まえて慎重に判断し、必要に応じて監査人と協議して行うべきであり、特定の年数を機械的に適用すべきものではないことが明確化されました。

【財務報告に係る内部統制の報告】
内部統制報告書において、経営者による内部統制の評価の範囲について、重要な事業拠点の選定において利用した指標とその一定割合等の決定の判断事由等を記載することが適切であるとされました。
また、前年度に開示すべき重要な不備を報告した場合における当該開示すべき重要な不備に対する是正状況が付記事項に記載すべき項目として追加されました。

当意見書は、2024年4月1日以降開始する事業年度における財務報告に係る内部統制の評価及び監査から適用することとされています。

また、当意見書の前文においては、本改訂の審議の仮定で問題提起があった以下の点について、法改正を含む更なる検討が必要な事項であるとして、中長期的な課題とされています。

■サステナビリティ等の非財務情報の内部統制報告制度における取扱い
■ダイレクト・レポーティング(直接報告業務)の採否
■内部統制監査報告書の開示の充実に関し、内部統制に関する「監査上の主要な検討事項」の採否
■訂正内部統制報告書に関する監査人による関与の在り方
■経営者の責任の明確化や経営者による内部統制無効化への対応等を目的とした課徴金や罰則規定の見直し
■会社法に内部統制の構築義務を規定する等、会社法と金融商品取引法の内部統制の統合
■会社代表者による有価証券報告書の記載内容の適正性に関する確認書における内部統制に関する記載の充実
■臨時報告書における内部統制の取扱い

詳細は金融庁の報道発表資料をご参照ください。

金融庁報道発表資料:https://www.fsa.go.jp/news/r4/sonota/20230407/20230407.html

金融庁は、監査報告書の報酬関連事項の記載に係る「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」を公表しました。

当改正により、一部の例外を除き、監査を実施した公認会計士又は監査法人が被監査会社(及びその子会社)から受け取った、又は受け取るべき報酬に関する事項について、監査報告書に記載するものとされています。

なお、記載対象となる「報酬」の範囲には監査報酬のみならず非監査報酬も含まれ、また、「監査を実施した公認会計士又は監査法人」の範囲にはこれらと同一のネットワークに属する者も含まれます。

当報酬関連事項の記載は、2023年4月1日以降に開始する事業年度又は連結会計年度に係る財務諸表等の監査証明から適用されます(2023年4月1日以降に終了する事業年度又は連結会計年度から早期適用可)。

詳細は金融庁の報道発表資料をご参照ください。

金融庁報道発表資料:https://www.fsa.go.jp/news/r4/sonota/20230327_2/20230327_2.html

2022年度の不適切会計のトレンドに関するレポートが東京商工リサーチより公表されました。

レポートでは、2022年度に不適切会計を開示した上場企業数は55社(前年度比1.8%増)であり2連続で増加していること、及び、不適切会計の内訳としては経理や会計処理ミスなどの「誤り」に次いで、従業員による「着服横領」、及び子会社等での「粉飾」の件数が増加していることが報告されています。

こうした不適切会計、特に「着服横領」や「粉飾」といった不正への対応として、OAG監査法人では企業内の不正調査・不正対策支援業務を提供しております。

OAG監査法人では、不正を起こさないための「守りの対策」、不正が疑われる若しくは起こってしまった際の「攻めの対策」の両面からのアプローチを、経験豊富な公認不正検査士・公認会計士が真摯に対応いたします。

「不正があるかどうか確かめたい」「不正しないように従業員に研修をしてほしい」「何から手をつけていいかわからない」など、ご不安な点、気になる点があれば、以下の特設サイトよりお気軽にお問い合わせください。

東京商工リサーチのリリース:
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1197615_1527.html

OAG監査法人不正調査・不正対策特設サイト:
https://www.oag-audit.or.jp/fraud-investigation/

日本公認会計士協会は、監査基準報告書720周知文書第3号「「企業内容等の開示に関する内閣府令」の公表に伴う監査基準報告書720「その他の記載内容に関連する監査人の責任」における取扱い(周知文書)」を公表しました。

本周知文書では、有価証券報告書等におけるサステナビリティ情報開示において他の公表書類が参照された場合における、監査上の取扱いが説明されています。

概要は以下の通りです。

有価証券報告書等発行会社の関係者皆様におかれましては、監査人とのコミュニケーションを行う上でご留意ください。

周知文書:https://jicpa.or.jp/specialized_field/files/2-24-25-2-20230410.pdf

(参考)監基報720「その他の記載内容に関連する監査人の責任」:https://jicpa.or.jp/specialized_field/2-24-720-2-20230112.pdf

金融庁より、監査上の主要な検討事項(KAM)の更なる実務の定着と浸透を図ることを目的として、「監査上の主要な検討事項(KAM)の特徴的な事例と記載のポイント2022」が公表されました。

KAMは2021年3月期から、一部を除く金融商品取引法監査が適用される会社に対して本適用され、監査報告書への記載が求められています。

監査報告書におけるKAMは、監査人が実施した監査の透明性を向上させ、財務諸表利用者と経営者の対話がより促進されること等を通じて、監査報告書の情報価値を高めることに意義があり、監査人が企業とのコミュニケーションを踏まえて記載しています。

上記適用対象企業の関係者皆様におかれましては、監査人と協議する際の参考情報としてご覧ください。

金融庁「監査上の主要な検討事項(KAM)の特徴的な事例と記載のポイント2022」の公表」

日本公認会計士協会(倫理委員会)より、倫理規則実務ガイダンス第1号「倫理規則に関するQ&A(実務ガイダンス)」が公表されました。

本実務ガイダンスでは、2022年7月に改正された倫理規則の適用上の留意点や具体的な適用方法の例示がQ&A形式で示されています。

詳細は下記のリンクからご確認ください。

【日本公認会計士協会】「倫理規則実務ガイダンス第1号「倫理規則に関するQ&A(実務ガイダンス)」」 及び「公開草案に対するコメントの概要及び対応」の公表について

2021年8月26日に監査基準委員会報告書700「財務諸表に対する意見の形成と監査報告」及び監査・保証実務委員会実務指針第85号「監査報告書の文例」の改正が日本公認会計士協会より公表されました。

従来は監査報告書への業務執行社員の自署及び押印が必要でしたが、電子署名も認められるようになりました。

詳細は下記のリンクからご確認ください。