今回は、資金収支計算書の区分について、旧基準との変更点及び注意点をご紹介します。

旧基準新基準
経常活動による収支事業活動による収支
施設整備等による収支施設整備等による収支(内容の変更あり)
財務活動による収支その他の活動による収支

以上のように、資金収支計算書の区分名称が変更されております。

施設整備等による収支については、名称の変更はないものの、内容が変更されており、注意が必要です。
例えば、旧基準においては、設備資金借入金収入や設備資金借入金償還金支出が財務活動による収支に区分されていましたが、新基準においてはそれらの収支は、施設整備等に関するものと捉えて、施設整備等による収支に区分することとされています。このように、施設整備等による収支の範囲が広くなっている点に留意が必要です。

平成26年3月31日に地方税制の改正に関する法律が公布されました。今回は、その中で、「地方法人税の創設」及び「法人住民税法人税割の税率引下げ」についてご紹介したいと思います。

「地方法人税」の概要

・納税義務者

法人税を納める義務がある法人

・税額の計算

・適用時期

平成26年10月1日以後に開始する事業年度から適用する。

「法人住民税法人税割の税率引下げ」の概要

上記創設及び改正の理由として、地方団体の税源の偏在性を是正しその財源の均衡化を図ることが挙げられており、地方法人税の税率4.4%は法人住民税法人税割の税率引下げ△4.4%と一致しています。

税効果会計への影響

法定実効税率の算出式が以下のようになります。

 
          法人税率×(1+地方法人税率+住民税率)+事業税率
法定実効税率=---------------------------------------------------------
                   1+事業税率

今回の改正においては、住民税率の引下げ幅が創設される地方法人税率と一致しているため、算出される法定実効税率には原則として影響がないと考えられます。
よって、連結納税制度を利用していない法人については、原則として計上される繰延税金資産及び繰延税金負債に与える影響はないと考えられます。

ただし、連結納税制度を利用している法人については、地方法人税の課税標準と住民税の課税標準が異なることから、繰延税金資産の計上額に影響を与える可能性があります。

平成25年度税制改正において、「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」が導入されました。今回はこの税制の内容についてご紹介したいと思います。

(1)税制措置の対象者

青色申告書を提出する中小企業者等とされています。ここで、中小企業者等とは以下のような定義となっています。

(2)適用の要件(以下の全ての要件を満たす必要があります)

留意点

(3)税制措置の内容

取得価格の30%の特別償却又は取得価格の7%の税額控除の選択適用

留意点

以上が概要となります。この制度を活用することで当年度の節税効果が期待できる方はぜひ利用されることをおすすめします。
詳細は、下記の中小企業庁ウェブサイトをご参照ください。
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2013/0401ZeiseiKaisei.htm

今回は、新基準で新たに追加される財務諸表注記事項についてご紹介します。
旧基準では、計算書類の注記事項として7項目規定されていました。新基準では経営内容をより正確に説明する趣旨から、この7項目に加え、新たに8項目を追加し15項目の注記事項が規定されています。旧基準から規定されている注記事項と新基準により追加された注記事項は以下のとおりとなっています。

旧基準から規定されている注記事項

新基準で追加された注記事項

平成26年1月20日に施行された「産業競争力強化法(平成25年法律第98号)」において、「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)に盛り込まれた施策を確実に実行するため、事業の発展段階に合わせた様々な支援措置が講じられました。

上記支援措置の一つである「生産性向上設備投資促進税制」では、一定の要件を満たした「先端設備(A類型)」や「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備(B類型)」を事業者が取得し、事業の用に供した場合には、即時償却又は税額控除を受けることができることとされております。

B類型において当該税制措置を受けるに当たっては、投資の目的を達成するために必要不可欠な設備か否か等について、経済産業省経済産業局の確認を受けることが求められており、経済産業局の確認を受ける際の申請書の添付書類として、公認会計士又は税理士の事前確認書(手続実施結果報告書)の添付が求められております。

上記の申請及び公認会計士又は税理士の事前確認に関して、経済産業省のウェブサイトにおいて、様式1:事業者の申請書、様式2:公認会計士又は税理士による事前確認書(手続実施結果報告書)等が公表されていますので、詳しくは以下のURLをご参照ください。
http://www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/kyousouryoku_kyouka/seisanseikojo.html

平成25年12月5日に、日本商工会議所と一般社団法人全国銀行協会を事務局とする「経営者保証に関するガイドライン研究会」より「経営者保証に関するガイドライン」が公表されました。このガイドラインは、中小企業・小規模事業者等の経営者の皆様による個人保証の契約時と履行時等における課題の解決策を具体化したものとなっています。
今回は、当ガイドラインの概要を端的にご説明します。

まず、経営者保証を契約する時点における対応として、金融機関は以下の(1)~(4)の全部または一部を満たす中小企業に対して、要件の充足度合に応じて経営者保証を求めないことや保証機能の代替手法の活用を検討することとされています。

次に、事業承継時の対応として、金融機関は前経営者の保証債務を、後継者に当然に引き継がせるのではなく、後継者との保証契約の必要性を改めて検討することとされています。

最後に、経営者保証が履行される時点における対応として、保証履行後も保証人の手元に残る資産等を拡充するよう検討されています。具体的には以下の(1)~(4)のような対応となっています。

当ガイドラインの詳細につきましては、下記URL(日本商工会議所のウェブサイト)をご参照ください。
http://www.jcci.or.jp/news/jcci-news/2013/1205140000.html

今回は、新社会福祉法人会計基準における区分方法の変更について概説します。

まず、前回のエントリーで記載致しましたとおり、新基準は社会福祉法人の営む全ての事業に適用されます。そこで、社会福祉法人の営む事業を社会福祉事業、公益事業及び収益事業の3区分に分けて集計することとなりました。例えば、介護老人福祉施設は社会福祉事業、有料老人ホームは公益事業、駐車場事業は収益事業となります。これにより、性質の異なる各事業の財務状況が把握できることとなります。

次に、各事業区分を「一体として運営される施設、事業所及び事務所」毎に区分して集計します。これを拠点区分といいます。これにより各拠点の財務状況が把握できることとなります。
さらに、各拠点区分で提供するサービス、例えば、介護老人福祉施設、通所介護、短期入所生活介護等のサービス毎に区分して集計します。これをサービス区分といいます。これにより各拠点におけるサービス毎の財務状況が把握できることとなります。

以上が新基準の区分方法となります。新基準の目的の一つである、法人全体の財務状況を明らかにし、経営分析を可能とするとともに、外部への情報公開に資するものとするという観点から、上記のような区分方法は有用と考えられます。

今回は、新社会福祉法人会計基準が制定された背景について概説します。

まず、従来の社会福祉法人の会計を取巻く状況は、その営む事業に応じて会計ルールが異なるなど、会計ルールが併存しており事務処理の煩雑さ、計算結果が異なる等の問題が指摘されていました。新基準では、これらの問題を解消するため社会福祉法人の営む事業に横断的に適用される統一的な基準となっています。

また、社会経済状況の変化に伴い、社会福祉法人にも一層の効率的な法人経営がなされること、また公的資金や寄附金等を受け入れていることから、事業の効率性に関する情報の充実や事業活動状況の透明化が求められています。新基準はこれらの社会要請に応えるため、上場会社に適用されるような企業会計の考え方も参考とされ、法人全体の財務状況を明らかにし、経営分析が可能になるなど、外部への情報公開も勘案されたものとなっています。

以上のことから、旧基準から新基準への移行作業には少々手間がかかると思われますが、新基準への移行完了後は、会計処理が簡素化され、さらに有用な情報が充実するものと考えられます。

厳しい経営環境の中、日々邁進しておられる中小企業の皆様の支援を目的とした制度として、平成24年8月に施行された「中小企業経営力強化支援法」に基づく「経営革新等支援機関」というものがあります。

経営革新等支援機関は、中小企業が安心して経営相談等を受けられるために専門知識や実務経験が一定レベル以上の者に対し、国が認定することで公的な支援機関として位置づけられています。

再生が必要な中小企業の皆様、新たに起業や海外展開を行いたい中小企業の皆様には、経営革新等支援機関を利用することで、資金面、税制上のメリットや技術開発の支援が受けられる可能性があるというメリットがあります。

当法人も経営革新等支援機関の認定を受けており、中小企業の皆様の発展に貢献することができる体制を整えております。

経営革新等支援機関に関する詳細は下記リンク先(中小企業庁ウェブサイト)をご参照ください。
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/nintei/

近年、日本社会の高齢化が留まることなく進んでいる中、社会福祉法人の果たす役割は確実に増してきています。

社会福祉法人の社会的重要性が増大する中、社会福祉法人に適用される会計基準が平成23年7月に改正されました。新基準の適用は、平成24年4月1日からとなっていますが、実務上の準備期間を考慮に入れて平成27年3月31日(平成26年度決算)までは従来の会計処理によることができることとされています。

とはいえ、平成27年度予算については新基準で作成する必要がある事から新基準移行に向けての準備は現段階から確実に進めておく必要があると考えられます。

これから、数回に分けて新社会福祉法人会計基準についてその目的や変更点、実務上の留意点などを記載していきます。