- 社会福祉法人関連
2026.03.23
【連載コラムVol.3】決算は法人の「成績表」!初心者でも押さえたい社会福祉法人における決算の注意点
社会福祉法人の経営層・実務担当者の皆様に向けて、組織を守り、強くするためのコラムを全5回にわたってお届けしております。
第3回となる今回のテーマは、1年間の総まとめとなる「決算」です。
決算とは、1年間の活動を振り返る法人の「成績表(通知簿)」のようなものです。日々の会計処理が正しく行われていれば、決算はその集大成となります。今回は、決算を行う上で、特につまずきやすい3つの注意点を挙げました。
自法人の決算処理に落とし穴がないか、確認しながらお読みください。
■注意点1:「予算」と「実績」のズレを分析する
社会福祉法人では、あらかじめ立てた予算に沿って運営することが基本です。しかし、当期の実績値(決算)と予算との間に、大きな差が出ている場合があります。予算を大きく上回る、或いは下回る状況にある場合には、その理由を明確に整理しておくことが大切です。
(例)
・利用者が増えたことにより収益が増加した。
・職員の残業時間を抑制するために人員を増やした結果、人件費は予算を超過したが、離職率は低下した。
このように、数字の背景にある「ストーリー」を把握することが、次年度の健全な経営に繋がります。
■注意点2:期末をまたぐ「費用」の計上漏れを防ぐ
当年度の労働の対価である給与(残業代を含む)や賞与を翌年度に支払う場合、それは「当年度の費用」として決算に反映させる必要があります。これを忘れると、利益が過大に見えてしまい、正確な経営実態が把握できなくなります。また、この処理は、毎年継続して適用しなければなりません。
日々の支払いの都度、費用計上を行っている場合でも、決算においては、「当年度に発生した費用は、当年度の費用として計上する」という原則を徹底するよう心がけてください。
■注意点3:迷いやすい「固定資産」か「経費」かの判断
新たに備品等を購入した場合、耐用年数が1年以上で、一定の金額基準を超えるものは、「固定資産」となります。新たな備品の購入については、迷いはないかもしれません。しかし、「建物の修繕」を行った場合には、判断が迷いやすい。単なる原状回復であれば「経費(修繕費)」として処理できますが、価値を高めたり耐久性を増したりするような工事であれば「固定資産」に計上しなければならないケースがあります。処理を誤ると決算書全体に影響を及ぼすため、迷った場合には、専門家にご相談ください。
◆まとめ:正しい決算は信頼の土台
正しい決算を行い、計算書類(貸借対照表及び収支計算書)、その附属明細書及び財産目録を正しく作成することは、法人としての信頼度に直結します。透明性の高い決算書は、利用者、職員および地域社会など全ての関係者が安心できる「揺るぎない法人経営の土台」となります。