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2015.04.20
企業結合会計基準の改正について
今回は、企業結合会計基準の改正内容について、確認していきたいと思います。
1.改正された基準
- ・企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」(企業結合会計基準)
- ・企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」(連結会計基準)
2.適用時期等
- 改正時期:平成25年9月公表
- 適用時期:平成27年4月1日以後開始事業年度
3.主な改正内容
- (1)非支配株主持分(少数株主持分)の取扱い
- (2)取得関連費用の取扱い
- (3)暫定的な会計処理の確定の取扱い
⇒改正の方向性として、国際的な会計基準との差異の解消
4.非支配株主持分(少数株主持分)の取扱いの改正について
(1)会計処理の変更について
- 改正前:非支配株主(少数株主)との取引は、外部取引と同様に損益取引として処理されていた。(親会社説の考え方)
- 改正後:非支配株主(少数株主)との取引は、資本取引として処理する。(経済的単一体説の考え方←国際会計基準)
具体的には、
- (1)子会社株式を追加取得した場合や一部売却した場合
- (2)子会社の時価発行増資の場合
に親会社持分が変動した際の持分変動差額の処理が変更となっている。
持分変動差額=親会社の持分変動額-追加投資額(一部売却額)
☆一部売却時の持分変動差額の計算方法の変更点
- 改正前:持分変動額(売却持分)に持分比率低下見合いののれん取崩額を含める。
- 改正後:支配が継続している限り、持分比率低下見合いののれんは取崩さない。
持分比率の変動 | 従来 | 改正後 |
---|---|---|
プラス | のれん計上 | 資本剰余金に計上 |
マイナス | 売却損益調整等 | 資本剰余金に計上 |
※資本剰余金残高がマイナスとなる場合は、利益剰余金から減額する。
(2)表示科目の変更について
i)BS表示
- 少数株主持分→「非支配株主持分」
ii)PL表示
- 少数株主損益調整前当期純利益→「当期純利益」
- 少数株主損益→「非支配株主に帰属する当期純利益」
- 当期純利益→「親会社株主に帰属する当期純利益」
5.取得関連費用の取扱いの改正について
取扱いの変わる取得関連費用
「外部のアドバイザー等に支払った特定の報酬・手数料等」
(ex. 紹介、助言、デュー・デリジェンス、バリュエーションその他のコンサルティング費用及び弁護士費用等)
<会計処理方法>
- 改正前:取得原価算入(上記費用は等価交換の一部であるとの考え方)
- 改正後:発生した事業年度に費用処理(上記費用は等価交換取引の一部ではなく、企業結合とは別の取引であるとの考え方)←国際会計基準
<注記>
主要な取得関連費用を注記により開示する必要がある。
注意点
上記処理はあくまで連結上の処理であり、個別財務諸表上は従来処理を継続する。
⇒よって、税務上の取扱いは従来と変わらない。
<税効果への影響>
個別財務諸表上で株式の取得原価に含まれる付随費用を、連結上は費用処理することにより差額が生じる場合、当該差額は連結財務諸表固有の一時差異に該当し、税効果会計の対象となる。
6.暫定的な会計処理の確定の取扱いの改正について
暫定的な会計処理について
企業結合に際して、識別可能資産及び負債を特定し、それらに対して取得原価を配分する作業が、企業結合日の属する会計年度決算までに確定しない場合がある。その場合には、決算時までに入手可能な情報に基づいて暫定的に決定した会計処理を行う。
<確定時の会計処理>
- 改正前:企業結合年度に当該確定が行われたとしたときの損益影響額を企業結合年度の翌年度において特別損益に計上
- 改正後:企業結合年度に当該確定が行われたかのように会計処理を行い、表示する。